Blog11. 環境に合わせ進化してきた生物の感覚特性より学ぶ

今回は、生き物が生活で利用している音の周波数に関して考えてみます。人が聞くことが出来る可聴領域は、20Hz~20kHzと言われています。20Hz以下の周波数帯域の音を超低周波領域と呼び、20kHz以上の周波数帯域の音を超音波領域と呼んでいます。生物がコミュニケーションで使用する周波数の音は、当然ながらその生物が聞き取れる可聴領域に含まれます。生物がコミュニケーションで発声させる音は、体の一部を振動させて発声させます。より遠方とコミュニケーションが必要となるクジラや象は、超低周波領域をコミュニケーションに利用しています。超低周波音は、エネルギーを持っていてより遠方まで届き遠くにいる仲間とのコミュニケーションする為に有利です。クジラや象は遠くの仲間と有益な情報を長距離コミュニケーションにより共有しています。音の振動は大気中よりも水中での伝達効率が高い為、水中での超低周波数の音の伝達は大気中より、より遠くに伝達する事ができます。水中は分子が密で、音速も速く、減衰も少ない為です。

水中に生息する生物は、水中での音の伝達効率が良いので低周波数帯域をコミュニケーションに利用しています。反対に超音波領域を利用する生物の代表としては、コウモリや蛾の仲間です。特に蛾は最も超音波領域の音を聞き分けることが可能な生物です。蛾は捕食者であるコウモリが探知の為に発生する超音波を蛾の頭に突き出た触覚器官で超音波音を捉えコウモリから身を守る為に超音波領域の聴覚が発達しています。また人の生活に寄り添う猫や犬も、人が聞き取れない20kHz以上の超音波音を聞き取ることができます。猫が高周波音を羽で発する生き物を敏感に反応するのは、超音波音が聞き取れるからです。このように各生物は、生き物として生き残るために住んでいる環境に合わせた聴覚を発達させて生きています。自然環境に合わせて進化してきた生物の感覚特性を学ぶことは、人のより良き社会に発展するために役に立つと考えています。

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